はじめに


 最近の畜産経営を取り巻く環境は厳しく、社会情勢の変化により急速に変貌しつつあります。

 農村部でも都市化が急速に進展し、混住化が進むなか、家畜ふん尿処理施設の整備が不十分なことから、水質汚濁等の問題が深刻化しており、畜産経営を継続するためには、畜産の環境問題の解決が大きな課題であります。

 一方、平成11年11月1日には「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が施行され、平成16年10月31日までに畜産農家が自らの責任においてふん尿処理施設の整備をすることになつたところであります。

 このような状況を踏まえ、宮崎県畜産会では、県をはじめ関係機関団体の協力を得て、県内で指導されている環境アドバイザーの方々を委員に、また(財)畜産環境整備機構の本多勝男先生を特別顧問にお願いし、「宮崎県家畜排せつ物浄化処理施設整備推進委員会」を平成13年3月に設置し本県の畜産経営に適した浄化処理施設の整備について検討することになりました。

 特に今回は、豚尿汚水の浄化処理施設設置を推進するため、施設整備に関する推進方策や施設維持管理指導体制の検討を行い、地域の指導者や養豚農家向けの豚尿汚水処理指導マニュアル書を作成することになったところであります。

 現在、豚の尿汚水の浄化処理方法は、簡易的な曝気方式(表面攪拌方式等)から嫌気処理法との併用などが考案、実用化されていますが、処理水の放流を前提とした場合、活性汚泥法以外の方法については、開発からまだ年月が浅く処理方法も様々で、整備を行う経営体はもちろん指導者も選定に苦慮している状況にあります。

 そこで、県内及び隣接する周辺県でに活性汚泥浄化処理方式について、取り組まれている尿汚水浄化処理プラントメーカーの御協力をいただき、本委員会が提案した処理施設設計諸元に基づき施設の設計をお願いし、浄化処理システムや内容について取りまとめたものであります。

 また、指導マニュアル書は、浄化処理施設の設置推進、維持管理を目的として施設の名称、役割、資材、用語などを解りやすく解説しております。
県内の養豚農家や技術員が浄化処理施設を選定するときの手引き書として活用いただければ幸いです。

 最後になりましたが、今回の指導マニュアル書の作成にあたって、ご協力いただいた各プラントメーカーの皆様をはじめ、通常の業務をかかえ多忙の中、執筆にあたっていただいた委員の皆様にお礼を申し上げますとともに、特に特別顧問としてお願いしました財団法人 畜産環境整備機構 審議役の本多勝男先生には全国各県での環境アドバイザー養成研修で激務の中、指導助言をいただきました。心から感謝とお礼を申し上げる次第でございます。

 
平成14年3月31日
社団法人 宮崎県畜産会
会  長 羽田正治




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